Moto2マシン用トリプルクランプ

MotoGPに最も近いと言われるスペイン選手権を、Moto2マシンで戦う小山知良選手。 この写真は彼のFacebookから頂きました。

そんな彼のMoto2マシン用に、ワンオフで色々なパーツを作っています。

今回紹介するのは、フロントフォークをクランプする、トップブリッヂとアンダーブラケットです。


まずはトップブリッヂの上部を、ブロックから削り出したところです。 手前は削り出す前の、アルミのブロックです。

 
(写真左) 下部と裏面の切削が完了し、クランプ部分の穴を開け、ネジを切っているところです。

(写真右) マシニングセンタでの加工が終了しました。 この後フライス盤で、締め付け部分の割を入れて加工は終了です。

 
(写真左) アンダーブラケットも出来上がり、並べてみました。 ピボット部分はエキセントリックカラーを180°入れ替えることで、オフセット量の変更が出来ます。

(写真右) これは裏側です。 彫り込み底面をちょっとおしゃれに仕上げてみました。

 
(写真左) 手前がトップブリッヂで、奥がアンダーブラケットです。 この角度からだと、トップブリッヂのセットダウン量がよく分かると思います。

(写真右) こちらは裏側から見たところです。 アンダーブラケットのボリューム感がおわかりいただけると思います。 非常にハイグリップなタイヤを使用する最近のレースマシンのトレンドは、剛性を確保したアンダーブラケットでがっちりフォークを固定し、逆にトップブリッジの剛性を落としてチャタリングを回避する方向のようです。


これは昨年ラグナセカで撮った、YAMAHAのファクトリーマシン、M1のフロント回りです。 上記トレンドはこのマシンから始まったのではないでしょうか。

今回、製作したトリプルクランプをアメリカに持ってきて、AMAで過去に2回もエンジニア・オブ・イヤーを獲得したオッサンに見せたら、「こりゃかっこええわ!!」ってお褒めをいただき、「一体いくらするの?」って聞かれて返答に窮してしまいました。 だって時間をかけて図面を起こし、プログラムを作り、各ジグを製作し、セッティングをきっちり出して、2セットしか作っていないのですから、値段を付けると、とんでもない事になっちゃいます(笑)。 しかしデザインをもう少しシンプルにして、量産しやすいように設計変更し、色々テストして、市販出来ればなぁ~って思っています。